第17回 小児の近視予防ニュース ~その1~

今回から2回連続で、小児の近視進行抑制についての最新ニュースを御説明します。

~その1~ 成人の病的近視は小児時に徴候がある

近視の有病率は世界的に増加しているものの、失明原因の上位を占めていることはあまり知られていません。第59回日本コンタクトレンズ学会において、東京医科歯科大学眼科のグループが、病的近視を発症した成人患者では小児期の時点ですでに病変が認められていたことを報告しました。

病的近視とは、近視が強くなりすぎた場合、眼球の後ろ側(後球部)に変形が生じ、その結果、網膜や視神経などの中枢神経が障害されることを言います。合併症として近視性黄斑症緑内障近視性視神経症近視性牽引黄斑症などが挙げられます。

学童時の近視進行が、病的近視に至るかどうかについては、学童の近視の経過を超ロングスパン(数十年)にわたり追跡する必要があります。

東京医科歯科大学眼科は1974年に世界で初めて強度近視専門外来を開設し、多数の近視症例の所見を蓄積してこられました。成人の病的近視患者において、小児期の眼底写真を振り返り、病変の有無などについて検討したところ、20年以上追跡できた小児の強度近視患者29人56眼(最終診察時の平均年齢36.0歳)のうち、成人の病的近視35眼では、小児の時点で眼底の乳頭周囲にびまん性萎縮(病的近視眼に特徴的な眼底所見のひとつ)が認められていたことを報告されました。

現時点では病的近視に対しては合併症の治療しかなく、完全に視力を回復させることは困難であります。したがって、小児期に高リスク患者を同定し、眼球後部の変形を抑制することが重要であると結論されています。

学童期の近視進行予防に対しては、当クリニックで行っているようなアトロピン点眼が最も有望視されています。なかでも強度近視の小児に対しては、アトロピン点眼を含めた積極的な治療を行うことによってさらなる近視進行の予防、また眼球変形の予防が重要になってくると思われます。

京橋クリニックの外来にも、小学生低学年でありながらすでに強度近視になっており、今後の病的近視の予防という観点から点眼治療を始めている子供さんもおられます。今後とも病的近視を防ぐべく、詳細な眼底検査と、積極的な治療を行っていきたいと考えております。

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