内斜視 (よくある目の病気 98)

よくある目の病気

第98回目 内斜視 (ないしゃし)

今回から2回にわたって、眼位の異常を取り上げます。今回は内斜視です。

 

眼位 (eye position) とは両眼の相対的な位置関係を示す表現で、頭をまっすぐにして正面を見ているときの眼位を第一眼位と呼びます。

 

斜視 (strabismus) とは、眼位がずれることをいい、ずれの方向が水平、上下、網膜子午線に対しての3つがあります。それぞれ水平斜視(内斜視、外斜視)上下斜視(上斜視、下斜視)回旋斜視(外方回旋斜視、内方回旋斜視)と呼びます。

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※参天製薬HPから引用

斜視に対して、斜位 (phoria) があります。これは両眼を使って見ている状態(両眼視の状態)では眼位が正しい位置にありますが、眼を覆うと眼位にずれが出ることを言います。

 

内斜視とは、第一眼位の状態時に、左右どちらかの視線が内側(鼻側)にずれている状態です。

【分類】

まず大きく先天性後天性に分けられます。

生後6ヶ月以内に発症した内斜視先天性内斜視

生後6ヶ月以降に発症した内斜視後天性内斜視といいます。

また、生まれつき内斜視に見える偽内斜視があります。

赤ちゃんの場合、顔がまだ平坦で目頭の皮膚によって内側の白目が隠され、目が内側によっているような錯覚がうまれます。

偽内斜視の場合、正常なので成長とともに鼻骨が発達し、鼻根部の皮膚が前に出てくれば

内側の強膜が見えてきて目立たなくなります。

先天性内斜視はほとんどが生後1ヶ月以降に発症し、原因は不明ですが、遺伝、解剖学的原因、筋肉の異常、神経系の異常など各種の説があります。

どちらかの眼が内側に大きくずれていますが、どちらか一方の眼が内側に寄っているのではなく、あるときは右眼が、あるときは左眼がというように交代する場合があります(交代性斜視)。両方の眼が内側に寄っているように見える場合もあります。眼位ずれの方向は内側だけではなく、内上側に寄っている場合もあります。さらに片眼を隠すと眼が小刻みに揺れる(潜伏眼振)ことがあります。また弱視との合併も多いです。

後天性内斜視は生後6ヶ月以降に発症した内斜視ですが、

基礎型内斜視

調節性内斜視

周期内斜視

急性内斜視

大人の内斜視

などがあります。それぞれの内斜視の特徴を下に記します。

基礎型内斜視

斜視角の大きさは最初は小さいですが、次第に大きくなります。

遠くと近くの眼位ずれは同じくらいの大きさで、眼鏡をかけても治りません。

調節型内斜視

遠視の矯正眼鏡をかけると眼位ずれがなくなる内斜視です。1歳6ヶ月から3歳までの発症が最も多いです。もともと遠視があり、ものをはっきり見ようとして調節(ピント合わせ)が過剰に働いたことによって起こります。調節が働くとき、輻輳(ふくそう)という寄り目にする機能も同時に働きます。

遠視が強ければ強いほど、ピントを合わすために過剰な輻輳が起こり、そのため内斜視となります。初期には正常の時と内斜視の時があり、特に近くを見た場合に内斜視になりやすく、次第に遠くを見ているときも内斜視になってきます。

周期内斜視

3~4歳ごろから発症することが多く、周期的に現れる内斜視です。

斜視でない日はほぼ正位か軽度の内斜視で、両眼視も認められますが、斜視の日は常に斜視状態になり、両眼視不良となります。これを1日から2日おきに繰り返します。

急性内斜視

突然発症する内斜視で、成人の場合は複視を自覚することがあります。

原因は不明なことが多いですが、中には器質的疾患を伴うので、MRIなどで神経学的検索が必要な場合もあります。

近年増えているのはスマートフォンの長時間使用に伴う急性内斜視です。

大人の内斜視

脳の異常や血管の異常、外傷、強度の近視、加齢などによっても内斜視が生じます。

【治療】

治療の手段としては、大きく分けて手術眼鏡プリズムレンズを含む)、遮閉(アイパッチ)などがあります。

先天性内斜視

眼位ずれが大きいことが多いため、眼位をまっすぐにするためには手術が必要になる場合が多いです。

両眼視機能を獲得するためには、早期の手術が望ましいです。

斜視によって弱視が生じている場合には、弱視の訓練が必要になります(片眼遮閉など)。

後天性内斜視

眼位ずれの程度を定量します。遠視があれば、調節性内斜視の可能性がありますので、眼鏡をかけます。眼鏡の度数は眼の成長に伴って変化しますので、その都度新しい眼鏡を処方します。

その他の内斜視では、眼位ずれの程度が小さければ、プリズムレンズを処方してうまくいくこともあります。眼位ずれの程度が大きい場合には、手術による治療を行うことになります。

(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)

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