視神経乳頭陥凹拡大 (よくある目の病気 91)

よくある目の病気

第91回は、視神経乳頭陥凹拡大 (ししんけい にゅうとうかんおう かくだい)です。

視神経乳頭陥凹拡大は健康診断で指摘される眼科所見としては、最も多い所見の一つです。

緑内障性の変化で見られる眼底所見であり、眼科を受診し緑内障の検査を受けるのが良いでしょう。

視神経乳頭とは、網膜の神経節細胞から出た軸索突起(神経線維)が一箇所に集まり、約100万本の束(視神経)となり眼球の外へ出て行く部分を指します(下図参照)。

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※参天製薬HPより引用

視神経乳頭を正面から写した写真が下のようになります。

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Alcon社 「知らないうちに視野が欠けてくる緑内障」より引用

左の写真が、正常な視神経乳頭です。

右の写真が、緑内障視神経乳頭です。

違いは、オレンジ色のリングの幅が、左は厚いのに対して、右は薄いこと。

そして、対照的にオレンジ色に囲まれた真ん中の白い部分が、左は小さいのに対して、右は大きくなっていることです。

オレンジ色のリングが視神経であり(乳頭辺縁部; rim of disc)、神経節細胞の軸索が束になった部分です。

真ん中の白い部分が視神経乳頭陥凹であり、構造物が何もない部分です。

緑内障が進行し、神経節細胞が障害されると細胞が死んでしまい数が減ります。

その結果、オレンジ色のリングがだんだん薄くなっていくのです。つまり、真ん中の白い部分が拡大して見えます。これが視神経乳頭陥凹拡大という所見の意味するところです。

最終的に緑内障が末期になると、視神経乳頭は真っ白に見えます。

【症状】

基本的には緑内障性の変化なので、緑内障の症状と同じです。

初期の場合は、ほとんどの場合自覚症状が出ません。

進行すると、進行度合いに応じて視野の欠損や、視力低下が起こります。

【原因】

緑内障では、網膜の神経節細胞の脱落が認められます。ただし、なぜ脱落してしまうのか根本原因はよくわかっていません。

神経節細胞が脱落すると、その分の神経線維が減ることによって視神経乳頭の陥凹部分が深く、そして大きくなります。陥凹拡大の初期変化にはさまざまなパターンがありますが、末期まで進行すると乳頭辺縁部は蒼白(白っぽく)になり、陥凹部がさらに深く拡大していきます。

視神経乳頭陥凹の変化を陥凹部分の水平と垂直で陥凹対乳頭比(Cup-Disc Ratio; /D比)として数字で表します。この数字が大きくなればなるほど、緑内障性の変化が起きている可能性があります。

だた、この/D比だけで緑内障と診断することは早計です。視神経乳頭の形状、大きさには個人差があり、生まれつき陥凹拡大にみえる方もおられます。また、近視の程度が強い方などは視神経乳頭の形が特殊な場合があり、判断が難しくなります。

緑内障と診断するには、必ず視野検査(見える範囲を調べる検査)を受ける必要があり、視野検査で異常が検出されて初めて緑内障と診断されます。

ただ、視野検査の結果に異常が現れていても、生まれつき特殊な視神経乳頭の形状をしている方の場合は、その異常が生まれつきの場合があります。この場合、一度の検査だけでは診断を下さず何度か検査を繰り返して、異常部分の経過や信頼性を求めて慎重に診断をつけます。

さらに最近では医療技術の進歩により光干渉断層計(OCT)が登場しており、神経節細胞層神経線維層の状態などを非侵襲的に測定できるようになりました。様々な切り口から得た情報を統合して診断に結び付けます。

【治療】

視神経乳頭陥凹拡大を指摘された場合は、まず眼科を受診して緑内障かどうか診断をしてもらうことが大切です。緑内障と診断された場合は、眼科医の指示に従い治療を行います。

経過観察を言われた場合は、眼科医の指示に従い、定期的な検診を受けることが大切です。

(監修 京橋クリニック眼科 佐々原学)

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