原発閉塞隅角緑内障 (よくある目の病気 87)

よくある目の病気

第87回は、原発閉塞隅角緑内障 (げんぱつ へいそくぐうかく りょくないしょう) です。

前回のブログでは、原発性隅角の広いタイプの緑内障(開放隅角緑内障)のお話をしましたが、今回は浅い前房狭い隅角をもつ眼に起こりやすい「閉塞隅角緑内障」のお話をします。

前房の深さが浅い人(浅前房)は必然的に隅角が狭くなる(狭隅角)のですが、これには生まれつきの眼の形と、年齢による加齢変化が関係しています。

京橋クリニックで行われた「1万眼研究」の結果によりますと、「前房が浅い」に関連する因子は、「水晶体が厚い」「高年齢」「短い眼軸長」「小さい球面屈折力」であります。

つまり浅い前房になりやすい人は、もともと遠視の人で、高年齢の人、かつ水晶体の厚みが厚いという感じにまとめられます。さらに水晶体の厚みは年齢と非常に強く相関していることから、遠視で高年齢の人は浅前房になりやすい、とまとめられるでしょう。

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※「目でみる眼疾患」より引用

閉塞隅角緑内障急性のものと慢性のものに大きく分けられます。

どちらのタイプも隅角が物理的に閉塞することによって、房水の流れが悪くなり、房水が眼内に溜まることによって眼圧が上昇します。眼圧の上昇した状態が持続すると、視神経が傷み、視野が消失します。進行すると視力も低下してしまいます。

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※参天製薬HPより引用

 

 

【症状】

急性の閉塞隅角緑内障は、突然発症し、急激に眼圧が上昇することにより、激しい眼痛、充血、視力低下、頭痛、悪心、嘔吐などを伴う緊急疾患です。急性緑内障発作とも言います。できるだけ早期に治療を行います。

慢性の閉塞隅角緑内障は、長い時間をかけて徐々に隅角が閉塞することによって、眼圧が上昇します。軽度な発作(虹が見える、眼痛、視力低下など)を過去に起こしていることもありますが、基本的には無症状であり、定期的な検査が必要になります。

【原因】

閉塞隅角緑内障のうち、原因不明のものが原発閉塞隅角緑内障となります。

急性の閉塞隅角緑内障では、水晶体の前面虹彩の後面がひっついてしまうことによって、ここで房水の流れが遮断されます(=瞳孔ブロック)。そうすると房水が前房へと流れることができず、後房に溜まり、虹彩の根元の部分(虹彩根部)が前方へ押されます。このため、虹彩の前面によって隅角が広範囲に急激に閉塞してしまいます。そうなると眼圧が急激に上昇します。

慢性の閉塞隅角緑内障では、徐々に年月をかけて隅角が閉塞していきます。

虹彩の最周辺部(虹彩根部)が、隅角の線維柱帯という部分に癒着を生じてしまい(=周辺虹彩前癒着PAS)、眼圧上昇を引き起こします。

加齢によって水晶体の厚みが増しますと、水晶体によって虹彩が後方から前方へと押され、周辺虹彩前癒着が生じやすくなります。

急性においても慢性においても、物理的に隅角が閉塞することによって房水が流出しにくくなり、結果として眼圧の上昇を引き起こし、視神経を傷めます。

 

【治療】

①急性の閉塞隅角緑内障

まずすみやかに眼圧を下降することを目指します。

高張浸透圧剤の点滴静注や炭酸脱水素酵素阻害剤の静注や内服、点眼薬(縮瞳剤、β遮断剤、プロスタグランディン製剤、ステロイド剤など)を投与します。

ある程度眼圧が下降し、角膜の状態が良くなったら、レーザー虹彩切開術が考慮されます。

これは下図に示すように、レーザーを用いて虹彩に孔を開け、新しい房水のバイパスを作成することによって隅角の開放を目指す治療法です。

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※「目でみる眼疾患」より引用

角膜の腫れが引かず、レーザー虹彩切開術が困難な場合は、手術療法として周辺部虹彩切開術を行うこともあります。

②慢性の閉塞隅角緑内障

点眼薬レーザー虹彩切開術によって眼圧下降を目指します。

白内障が進行している症例では、白内障手術を施行することによって浅前房・狭隅角を改善することが可能です。水晶体が加齢により厚みが増しており、後方から虹彩を圧迫しているため、水晶体を除去することにより、前房を深くして隅角の開放を目指します。

周辺虹彩前癒着(PAS)がかなり広範囲に形成されている場合は、癒着を解離するために隅角手術(隅角癒着解離術)を行うことがあります。

以上の処置によってもまだ充分な眼圧下降が得られない場合は、線維柱帯切除術などの濾過手術を行うことがあります。

(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)

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